プチプチ文化研究所

プチプチ文化レポート

  • PUCHI No.07

    祝☆グッドデザイン賞受賞
    おくりものには、ものがたりがある「浮世絵ぷちぷち」

Tokyo Midtown Award 2015デザインコンペ準グランプリを受賞した作品「浮世絵ぷちぷち」。この作品が川上産業で商品化され、このたび「2018年度グッドデザイン賞」を受賞しました。
受賞を記念し、今回デザインを担当したデザインユニット「coneru」のみなさんに制作秘話をうかがいました。

「浮世絵ぷちぷち」グッドデザイン賞受賞 デザインチーム「coneru」とは?

所長: 今回は「浮世絵ぷちぷち」グッドデザイン賞受賞を記念して、デザインチーム「coneru」のみなさんに来ていただきました。「浮世絵ぷちぷち」はお酒の贈答品用のラッピング用品としてじわじわ人気急上昇です。「浮世絵ぷちぷち」は、Tokyo Midtown Awardの出品作品だったんですよね。まずデザインユニット「coneru」の紹介をお願いします。

coneru 清水さん: 元々、菅原と上久保は大学時代の同級生でした、山根とは前職の同期入社で各自コンペ活動とかやっていたんですけれどその中で初めて一緒に組んで行ったのがこのTokyo Midtown Awardでした。

左からconeruの菅原さん、上久保さん、清水さん、山根さん、そして所長

所長: 初めての作品だったんですか?

coneru 清水さん: 処女作です。

coneru 山根さん: 確かに今思えばそうですね。

coneru 菅原さん: プロダクトデザインも初めてでした。

coneru 上久保さん: 最初の頃は山根と清水と3人でやってて、人手が足りなくなって菅原さんに「手伝って」と呼んだ記憶があります。3人でやってた頃からスケさんに相談の電話はしていました

所長: 皆さんで集まったのはいつ頃だったんですか?

coneru : 2015年ぐらいですね

所長: なぜプチプチを素材に選んだのですか?

coneru 菅原さん: その時のTokyo Midtown Awardのテーマが「おもてなし」でした。
それでおもてなしとはなにかということを考えている中で歴史をひもといてみました。それで浮世絵と緩衝材の話が思い浮かびました。現代の緩衝材であるプチプチと合体させたら面白いんじゃないかってみんなに話したんですね。

所長: それで見事に準グランプリを受賞されました。
その後、当社に商品化のご提案をいただいたんですよね。

coneru 清水さん: プチプチと検索したら最初に川上産業と出てきて。あとFacebook 上で社長(※1)のアカウントを見つけてメッセージをお送りしました。最終的には会社の方から連絡をいただきました。

coneru 山根さん: 動画が良かったんですよね。 社員の方の結婚をロケットランチャーを飛ばしてお祝いしている動画でかなり面白いことをされていると思いました。それを見て「この人たちならいけるんじゃないか」と思ったんです。

(※1)社長
当時の川上産業二代目お客様係社長で、現取締役指針寺. (シシンデラー)川上肇氏のこと。社員のためにお祝いに駆けつけたロケットランチャーを飛ばす動画はこちら。

所長: なるほどそれを見てもらったんですね。
ご連絡いただいてからもう2年。無事に商品化され、ついにグッドデザイン賞を受賞。

coneru 清水さん: 商品化したときにはテレビの取材なども入りましたよね。

coneru 山根さん: 僕のシェアハウスで撮影したんですよ。ちょうどクリスマスパーティーをしていました。

プチプチは「おもてなし」だ!浮世絵とのコラボには隠れた苦労があった

所長: 最終的に、酒瓶包装用のプチプチとして商品化されました。

coneru 清水さん: 最初のアイデアはシート状でした。
ただ平たい状態だとなにを積めばいいのか分かりにくいと開発に関わるチーム内で検討し、じゃあ逆になにを包めばいいのか考えて、今流行している日本酒を包むパッケージを作ることにしました。

所長: プチプチの粒の面が袋の外側になっています。この加工の方法は当社では粒外(つぶそと)というのですがこの粒の向きにもこだわりはありますか?

coneru 上久保さん:そこは検討した点です。浮世絵と一緒にプチプチが見えるのがいいなと思いました。あえて粒を見せることで、面白い仕上がりになるなと思いました。

所長:この浮世絵の絵柄なんですが、なぜこれを選ばれたんですか?

coneru 菅原さん:海外の人でもわかる浮世絵を選びました。

coneru 上久保さん:菅原と僕で神保町の浮世絵の版画を売っているお店に行きました。浮世絵って安いものは結構安く買えて人気なんですよね。神保町周辺の数店舗で買うことができ、ある程度知名度が高い絵を探しました。

coneru 上久保さん:富獄三十六景 『駿州江尻』はTokyo Midtown Award受賞の時に使ったものです。
富獄三十六景 『神奈川沖浪裏』は日本で一番有名なビジュアルなので採用しました。あとは美人画をぜひ入れたいと思い、『ビードロを吹く娘』を加えました。

coneru 上久保さん:浮世絵はだいたい横の構図なのですが、今回は日本酒の酒瓶の形になるので縦の構図が条件でした。
とはいえ縦の構図でも、ただ引き伸ばしてもきれいにはまらないので実は足りない部分を合成しています。ぐるっとボトルを包んだときに時に綺麗に一周するように、着物の柄や波を伸ばしているんですよ。ボトルを入れた時に底になる部分では、そういう計算を地味にしています。

所長:なるほど! 違和感ないですね

所長:この発想の原点は歴史にあるということですが、どんなディスカッションの中で生まれたんですか?

coneru 上久保さん:「おもてなし」がテーマということでブレストする中で贈り物は「おもてなし」だよねという話が出てて、そこから菅原さんが歴史の逸話(※2)を調べてきてくれて……。

coneru 菅原さん:トイレで浮かんだのを覚えています。

一同:笑

coneru 菅原さん: 緩衝材と言ったらプチプチが思い浮かびました。ダンボールとかではなくプチプチが一番面白いだろうなと思ったのです。

(※2)歴史の逸話
浮世絵は、江戸~明治期にヨーロッパに輸出された陶器の梱包材として使われていました。それが当時のアーティストたちに“発見”され、高い評価を受け「ジャポニスム」と呼ばれる一大ブームとなりました。とくに印象派の画家たちに大きな影響を与えたというのは有名な逸話です。

悩んだパッケージ 包むものをまた包むのか?

所長:商品化が決まり、パッケージの方もこだわっていただきました。

coneru 清水さん:あれは山根が思いついたんだっけ? ボトルの形をしていたらいいなって。

所長: パッケージも二転三転しましたよね。

coneru 山根さん: そもそもパッケージがいるのかという議論もありました。包むものをまた包むのかっていう……。

coneru 菅原さん:僕はずっとタグだけでいいと言っていましたが、パッケージを作ることによって商品の価値が上がるという考えもあれば、包むものをまた包まなきゃいけないのはもったいないじゃないかという考えもありました。

所長:「包むものを包む」というのは当社の課題でもありまして。よくあるのがネット通販で個人の方がプチプチを買ったら商品よりも大きなプチプチに包まれていたとか。

一同:笑

coneru 山根さん:後は浮世絵が持っているストーリーをどうやって分かりやすくパッケージ上で表現するかも試行錯誤しました。それと浮世絵柄の物って世の中にたくさんあってそれと並列に並んでしまうとすごくもったいないな 歴史をいかに伝えるか悩ましいところでありました。

所長:浮世絵といえば海外の方にも人気なので英語の文章も書いていただきました

coneru 山根さん:タイトルやコピーを悩みましたね。

coneru 菅原さん:バイリンガルがいてよかった。

coneru 山根さん:表現は自分たちの中でも揉んで揉んで。
Tokyo Midtown Awardの時に考えたコンセプト文はすでにありましたが、それを改めて商品を売るということで考えた時に歴史をこんこんと説明するのはなかなか難しいと思いました。物を売るコピーと説明をするコピー、どっちをやるべきかなと悩んだんですけれども一番は歴史を知ってもらうことだなあと。

coneru 山根さん:何度も作り直しましたね。文字のプチプチがゲシュタルト崩壊しかけたぐらい。この中で僕だけが美大卒ではなく絵が描けないので文字を打つ担当をしていたんですけれども……。

coneru 清水さん:ダジャレ案もありましたね、どんなものだったか記憶に残ってないですけれど(笑)

所長:そんな苦労を経て発売された「浮世絵ぷちぷち」、どう使ってもらいたいですか?

coneru 菅原さん:そこは明確にあります! 利用してもらいたい!贈り物を受け取った方が、再び誰かのために使って、そしていつか僕の元に帰ってきてほしい!!

coneru 上久保さん:そうだね、浮世絵ぷちぷちの作者と知らず、自分に届くといいね。

coneru 清水さん:それぐらい普通に使われるものになってほしい。

所長: 何回でも使えますよね。

coneru 菅原さん:プチプチって普通にみんな取っておくじゃないですか。それと同じようにしてもらいたいですね。

所長: 今後どう展開しましょうか?

coneru 山根さん:今は筒状のみなのですが、今後は何でも入るようなものも作ってみたいと話しています。もっと大きいやつとか空港とかで荷物ガンガン入れられるようなものとか。

coneru 菅原さん:あとは現代の浮世絵とコラボしたい!

coneru:確かに確かに。

coneru 山根さん:海外に持って行きたいというのもありますね。もともと海外に渡ったことがきっかけですからその歴史をなぞってみたい!

一同 なぞりたいですね。

coneru 清水さん:あわよくばフランスかミラノに行きたい。ミラノ・サローネとか。

coneru 山根さん:誰かの作品を包んで送ればいいんじゃないですか!

今取り組んでいるのも「伝統×現代」企画

所長:この浮世絵プチプチの他にもconeruさんが今取り組んでいらっしゃるのはどんなことなんですか。

coneru 清水さん: 今は、デザイナーと伝統工芸の職人さんをマッチングをさせて商品づくりに取り組むプロジェクトにこの4人で参加しています。今ものづくり真っ最中なのですが、それもこの浮世絵ぷちぷちの実績があったからつながったこと。

coneru 清水さん:その他には自主的に日本の陶磁器を広めることを考えています。日本にはさまざまな焼き物があって、有名どころからすごく小さなマイナーなところもあるんです。それをもうちょっと手軽に知ってもらえないかなと、焼き物をスキャンしてそれを紙コップに転写して日本中に「こんな焼き物あるんだ」と知ってもらいたい、そんなアイデアを考えています。
現代のものに伝統のものを加えていくというのは浮世絵ぷちぷちと似てますね

coneru 山根さん:いつのまにか、伝統的なものをやるチームになっています。そういう意図はなかったんですけれど。

coneru 菅原さん:歴史好きだからしょうがない

所長:焼き物の紙コップが完成したら浮世絵プチプチに包んで運んでください!

一同:そうしましょう!

焼きコップ 陶磁器文化振興プロジェクト
https://coneru.tokyo/yakicup

<デザインユニット「coneru」 プロフィール>

coneruは、会社員4名によるデザインチームです。
普段は別々の企業に属しながら、コンペティションへの応募や企業に向けた自主提案にて、
練りに練ったアイデアの提案を行っています。

(左から順に)
山根 準 Hitoshi Yamane / Producer
電子機器メーカー

菅原 竜介 Ryusuke Sugawara / Designer
フリーランス:多摩デザイン事務所

上久保 誉裕 Takahiro Uekubo / Designer
広告制作会社

清水 覚 Satoru Shimizu / Planner
インターネットメディア

https://coneru.tokyo/