こんにちは!プチプチ文化研究所の杉山彩香です。今日は、プチプチ®を使ってかわいいバッグを作っている「chicco」の和田里奈さんにお話を伺います。
所長:まず、プチプチを使って「chicco」というブランドを始めたきっかけを教えてください。
和田さん:コロナ禍でお仕事が減ってしまい、従業員の皆さんにお休みをお願いすることが多くて、心が痛かったんです。そこで「待っているだけじゃなく、動き出さなきゃ!」と思いました。大好きなプチプチを使って、みんなで何か楽しいものを作りたかったんです。プチプチって、誰でもついつい手に取って潰したくなりますよね(笑)。そんな身近で愛されている素材を、ただの梱包材で終わらせず、新しい形にしてもっと楽しんでもらいたいと思ったのが始まりなんです。
所長:「chicco」という名前には、どんな意味が込められているんですか?
和田さん:「chicco」は「キッコ」と読むのですが、イタリア語で「粒」や「小さな子どもへの愛情」などの意味があるんです。プチプチそのものが小さな粒ですし、私のプチプチへの愛情をそのまま名前に込めたくて、この名前を選びました。「これしかない!」って思いましたよ(笑)。
所長:デザインのインスピレーションはどこから来ているんですか?
和田さん: プチプチって、ただの緩衝材って思われがちですが、私はその並んだ粒々がとても可愛く感じていました。この「可愛さ」をどうにかしておしゃれに見せたい!って思ったんです。私たちの地域は染布や姫路の革が有名なので、これらをうまく組み合わせて試行錯誤しました。
所長:プチプチならではの特徴や魅力をどのようにデザインに活かしていますか?
和田さん: プチプチは軽いので、持ち運びがとても楽ですよね。また、ナチュラルなデザインでは透け感を活かして、軽やかで可愛らしい雰囲気を演出しています。そして、ブラックカラーを組み合わせることによって、大人っぽさと洗練された印象を意識してデザインしています。
所長:プチプチを使う上で、特に工夫している点はありますか?
和田さん: プチプチはもともとやさしく包む緩衝材なので、バッグとしての強度を保つのが難しかったんです。でも、特殊なフィルムを使ったプチプチを採用して、しっかりとした強度を確保しています。また、コロナ禍でよく見かけたビニールシートを再利用して、SDGsも意識しています。子どもから大人まで、「あのプチプチだ!」って思ってもらえるように、デザインにはこだわっていますよ。
所長: 離れたところから見ても「これってプチプチだ!」と感じてもらえるようなデザインに仕上げられて、とても嬉しいです。
所長:バッグの制作過程について、もう少し教えてください。
和田さん: 型紙の作成から始めて、裁断、貼り合わせ、縫製、カシメ留めといった流れです。縫製のときには、プチプチの丸い粒が真っ直ぐになるように注意しています。デザインを損なわないようにしつつ、プチプチらしさをしっかり表現することを大切にしています。
所長:プチプチの再利用について、特に意識していることはありますか?
和田さん:最初にこのバッグを作ろうと思ったのが、まさにサステナビリティを意識したからなんです。プチプチの端材がどうしても出てしまうので、これを何とかして活用できないかと考えました。ビニールシートや革の部分も、廃材を再利用しています。小さなことかもしれませんが、これをきっかけに、地域や環境への意識を少しでも変えられたらと思っています。
所長:新しいアイデアはありますか?
和田さん:辞典用ブックカバーや手提げバッグ、防災リュック、キャリーバッグの制作を考えています。また、異なる素材を組み合わせて、もっと高級感のあるデザインにも挑戦したいです。
所長:辞典用ブックカバー!斬新ですね(笑)
所長:今後の展開について教えてください。
和田さん:今はまだ小さなコミュニティでの活動ですが、少しずつ日本国内で使える廃棄素材とのコラボレーションを広げていきたいです。そして、これが国外にも広がり、環境改善や意識の変革に繋がれば素晴らしいと思います。小さな一歩が未来に繋がり、地球全体の環境に貢献できればと思っています。
所長:ユーザーからのフィードバックや、印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
和田さん:はい、たくさんの嬉しいお声をいただいています。例えば、レザーバッグに比べて圧倒的に軽いという評価をよくいただきます。また、若い方々に向けて作った透明バッグや小さなバッグを、実際にライブに持って行ってもらえた時は本当に嬉しかったですね。そして、黒やブラウンのバッグについては、ビジネスシーンでも違和感なく使えるようにデザインしました。川上産業の方が実際に使用している写真を見た時は、思わず「やったー!」と声を上げて喜んでしまいました(笑)。
さらに、今後はプチプチの特性を活かした「水に強くて、中身をしっかり守れる」という点についても、もっと多くの方に伝えていきたいと考えています。これからも新しい素材や組み合わせに挑戦し、もっと楽しくてユニークなプチプチの魅力を広めていきたいです!
和田里奈
株式会社エアーシールド 代表取締役
父が経営していた会社で16歳からアルバイトでプチプチ加工業務に携わる。高校卒業後、栄養士の資格を取る為に短大に通い卒業したが、製造の楽しさを忘れられず、プチプチの業務を続ける事に。 38歳で代表取締役を引き継ぎ、愛するプチプチの可能性を引き出す為に商品開発に積極的に取り組む。 2024年自社ブランド『chicco』を立ち上げる。